前回:2026年3月に読んだ本
メタ思考トレーニング
メタ思考トレーニング 発想力が飛躍的にアップする34問 PHPビジネス新書 | 細谷 功 | ビジネススキル | Kindleストア | Amazon
思考の癖やバイアスを自覚し、1段高い視点から物事を捉えるための本だった。
以下、印象に残ったポイント。
- 人はどうしても自己中心の視点で物事を見てしまう
- 他人のことは一般化できるのに、自分のことだけは特殊だと思いたがる、という指摘は耳が痛かった
- 技術者は機能の増強で成功した体験が強いあまり、ユーザーのニーズを超えてもなお「技術で驚かせよう」という発想から抜けにくい
- 技術者としては特に自戒したい
- 「AIに置き換えられない仕事」を考えるときも、その答えは構造から考えると明らかになる、という視点が面白かった
本書では、理解できないことや自分の価値観と反する事象に出会ったときに、すぐ「相手がおかしい」と切り捨てるのではなく、「自分の知らない世界があるのかもしれない」と捉える姿勢の重要性が語られていた。この考え方は、無知の知を実践するための具体的な態度として仕事でも日常でも役に立ちそう。
2016年の本ではあるが、AIやアルファ碁への言及もあり、今読んでも先見性を感じる内容だった。本当は自分で例題を考え抜くべきなのかもしれないが、AIに問いを投げて模範解答っぽいものを作らせながら読むと理解が進む場面も多かった。
思考の偏りを減らすためにAIを壁打ち相手として使う、という方向性自体はかなり相性が良さそうなので、今後も活用していきたい。
要件定義の極意
要件定義の極意 「機能不全」「予算超過」「遅延」を防ぐ20のルール | 松本 均 |本 | 通販 | Amazon
要件定義のやり方を一から教える本というよりは、要件定義におけるアンチパターンと、その乗り越え方をまとめた内容という印象だった。「おわりに」にもある通り、ある程度プロジェクト経験を積み、より大きな案件に関わるようになった人に向けの本で、やや中級者向けなのかな?と感じた。
要件定義にメインで関わる人向けの本ではあるものの、エンジニアの立場から読んでも参考になる点が多かった。たとえば、要件定義の段階でプロトタイプを用意すると認識合わせがしやすい、といった話には納得感があった。
特に印象に残ったのは、「本質的に必要な機能に絞ってリリースする勇気を持つ」という考え方だった。IT 部門としては、あとで要望が出て困るくらいなら先に入れておこう、と先回りで設計したくなることがあるし、自分自身の振る舞いにも身に覚えがあった。
一方で本当に必要な機能に絞ってリリースした方が重要な機能に集中して時間を使えるのも事実である。
その判断基準として、「その機能が事業の成果に直結するか」を見るという考え方がわかりやすかった。たとえば「この機能があれば売上を 1.5 倍にできる」「この機能があれば作業時間を半分にできる」のように、主語が現場で、成果を数字として想定できるものは優先度が高い。この基準は、機能を絞る際の物差しとして実用的だと感じた。
その他、エンジニアやデザイナーは自分たちで必要な情報を取りに行くべき、という話にも共感した。IT 部門が業務を理解したパートナーとして振る舞うためには、現場を観察し、実際に体験するのが最も効果的だという指摘には納得感があった。営業の現場に同行する、といったことは自分も意識してやっていきたい。
全体を通して、本書では「問題は個人ではなく構造が引き起こしている」という視点が何度も出てくる。このあたりは、以前読んだ 「具体⇄抽象」トレーニング や 「無理」の構造 で触れられていた話ともつながる部分がある。要件定義のような上位レイヤーの話では特に、何か問題が起きたときに人間の頑張りで解決しようとするのではなく、構造そのものを見直して解決する発想が欠かせないと深く感じた。