会社を設立するにあたって、実際にやったことを具体的にまとめておく
仕事先日、株式会社Typebase という会社を設立しました。
自分はこれまで個人事業主として活動してきましたが、会社を設立した経験はなく、色々とわからないことも多かったです。
今回の記事では、自分が会社を設立するにあたって実際にやったことをかなり具体的にまとめていこうと思います。
前提
- 個人事業主 → 法人
- 株式会社の設立
勝手なイメージですが、合同会社の方が決めることや必要な書類が少なくなりそうなため、設立するのは楽かもしれません。
あと、かかった費用はざっくりですが合計で 22 万円くらいです。株式会社の場合は 30 万円も用意しておけば確実に足りると思います。
1. 情報収集
まずは会社を設立するためにはどんな手続きが必要なのか、ざっくりと調べてみました。
やったこととしては、YouTube で会社設立に関する動画を適当に数本見たのと、図書館で会社設立に関する本を借りてきて 1 冊読んだくらいです。
自分が読んだのは上記の本でした。複数の情報源があると微妙に言ってることが違ったりするので、なんとなく概要を把握する程度に留めてそれぞれの情報を鵜呑みにしないように心がけていました。
2. 会社設立を依頼する
会社の設立のための手続きは自分でやることもできるっぽいですが、間違えて手戻りが発生すると嫌なので外部へ依頼することにしました。
自分は個人事業の会計に freee を使っていたので、最初はそのまま freee の会社設立サービスを使おうかと考えていました。
参考:最も利用されている会社設立サービス | freee会社設立
しかしどうやら設立までに約 2 週間かかるとのことで、自分はもう少し早く設立したいこともあって「会社格安センター」というところを使ってみることにしました。
参考:会社設立と電子定款は、自分でするより3万円安い【会社格安センター】
ここは費用として 8,360 円かかりますが、株式会社の設立が 1 週間かからないくらい でできます。実際、自分が利用した際は申込日と土日込みでだいたい最短 6 日くらいで法務局に書類をもっていくところまでできそうでした1。
申込みをするタイミングで用意しておくべきものは以下のページにまとまっています。
参考:株式会社設立のために用意いただくもの | 会社設立専門・会社格安センター
自分は実印をもっていなかったので、事前に購入して印鑑登録をしておきました。また、ご自身が代表になる場合は印鑑証明書が 2 枚必要なので注意が必要です。ちなみに、印鑑証明書は市役所で買うより買うよりもマイナンバーカードを使ってコンビニで発行したほうが少し安かったです。
その他、会社設立に必要な情報は実際に記入する際、わからなかったら適宜調べることになるかと思います。
参考:株式会社の必要事項をカルテにご記入下さい | 会社設立専門・会社格安センター
注意点として、もしスタートアップを立ち上げる予定で株が重要になってくる際は発行株式数を多めに設定しておきましょう。
参考:会社をつくるときに知っておきたかったこと / 発行株式数編 / 地雷除けリンク付き|相川真司(かわんじ) #DiQt|note
会社格安センターの場合、入力フォームに詳細な発行株式数の入力欄がないかもしれませんが、その他備考欄に書けば対応してくれます。
また、自分は会社格安センターの印鑑は利用せず、会社格安センターの手続きの最中に自分で適当にネット上にあるハンコ屋から購入しました。その方が安上がりになるかと思います。
3. 会社設立に必要な書類を提出する
しばらくすると会社格安センターから必要書類が届くため、その情報を元に自分で公証役場や法務局に行って手続きを行います。 会社格安センターを使う場合は、かなり詳細なマニュアルが付属されるため、迷うことはほぼないかと思います。
おおまかな流れは以下のとおりです。
- 公証役場に行く日付を予約する
- 公証役場に書類を提出する
- 個人の口座に資本金を振り込み通帳のコピーを印刷する
- 法務局に書類を提出する
- 登記完了後、法務局に行き登記簿謄本や印鑑カードを取りに行く
- 各官公署に法人設立届出書を提出する
個人の口座に資本金を振り込み印刷する際は、ネット銀行の場合は必要な情報が数ページにまたがっていることもあるので、きちんと必要な情報に抜け漏れがないように印刷する必要があります。
最初に法務局へ書類を提出した日が会社の設立日になりますが、登記に問題があった場合は法務局から電話がかかってくるようです。それまでヒヤヒヤしながら過ごすことになるのですが、自分の場合は無事電話がかかってくることもなく、登記に成功していました。
ちなみに、待っている期間で登記に成功しているか調べる方法として、国税庁の法人番号公表サイトから法人名で検索してヒットするか確認する、という方法があります。
参考:国税庁法人番号公表サイト
4. 顧問税理士を決める
法務局で書類を提出後、手続きが完了するまでに数日かかります。自分はこの間に税理士を探しました。
自分は法人になっても freee を使う予定だったので、freee の税理士検索サービスから freee が使えそうな税理士を探すことにしました。
freee税理士検索 - パートナーとなる税理士・会計事務所が見つかる
税理士を決める際も YouTube で税理士の決め方など調べて事前調査しつつ、最終的には以下の 3 つを意識して決定しました。
- 相性
- レスの速さ
- 価格
結果的に、自分の場合そこまで多くの方とお話しなかったということもあるのですが、良い方に巡り会えたおかげでかなりスムーズに決定しました。
あと、このあたりで freee 会計の法人契約もやっておきました。
5. 銀行口座の開設
銀行口座はネット銀行と地方銀行を作ることにしました。
参考:ネット銀行と社会保険料の納付に関する話|かなやま / 社労士|note
ネット銀行は下記のものを口座開設しようとしましたが、一番開設が早かったのは住信SBIネット銀行で、続いてGMOあおぞらネット銀行、という感じでした。
- 住信SBIネット銀行
- GMOあおぞらネット銀行
- 楽天銀行
- PayPay銀行
また、開設のしやすさもざっくり上記の順番にやりやすく、下に行くほど Web 上のフォームの UX が悪かったり、開設時に紙の書類の提出が求められたりして面倒という印象でした。
地方銀行は対面での開設でしたが、その際に会社のホームページがインターネット検索でヒットすることを求められて焦りました。当時、会社のホームページは雑に notion で作ったものをネット銀行のフォームに入力しており、独自ドメインですらなかったので現地で入力するのは手間、かつ Google で検索しても全然ヒットしないという状態でした。
結果的に自分は手元のスマホで Bitly から短縮 URL を生成してそれを窓口で渡していただいた端末に手入力して notion のページを表示し、かつこれはインターネットに公開されているので検索結果にはヒットしなくても実在するものなんです、みたいな説明をして納得していただきました。
銀行口座を作る前に、自社のホームページは独自ドメインのものを用意しておいたほうが無難かもしれません。
結果的に窓口では「確実に開設できるかわかりませんけど...」と言われていましたが、1 日くらいで開設できました。
6. クレジットカードの申し込み
ネット銀行ではデビットカードが使えるものの、クレジットカードはないので申し込んでおきました。
自分は freee のカードと、三井住友カードのビジネスオーナーズを申し込みました。
freee のカードはいくつか種類があって、自分は早く届きそうな freee MasterCard を選んだのですが、カードの利用枠が 10 万円しかありませんでした。
もし freee MasterCard だけで考えている場合は、他のカードも申し込んでおいたほうが良いかもしれません。
ただし、クレジットカードが使えるようになるまでの期間にはかなり差がありました。freee MasterCard は申込みから約 9 日後に届きましたが、ビジネスオーナーズはカード発行手続きの完了(この時点でアプリからカードの番号が確認できる)まで約 2 週間、カードの実物を受け取るまでには約 3 週間かかりました。
7. 社会保険加入の手続き
口座振替ができる銀行口座を用意できたあたりで、社会保険加入の手続きを行います。自分は以下のページを参考にしました。
参考:一人社長の社会保険加入の手引き|かなやま / 社労士|note
このとき、役員報酬を決めておく必要があります。具体的な金額は税理士と相談して決めるのが良さそうです。自分は税理士の方との初回の相談時にだいたいの金額のイメージがついたため、その金額でいくことにしました。
保険証が届くまでの期間は事前に調べたところ 2~3 週間という情報が多く、自分もそれくらいでした。結構期間があるので、もしその間に病院へ行く場合は自費診療になるかと思うのできちんと領収書を控えておきましょう。保険証が届いた後、国保に加入していた場合は国保の保険証を市役所に返却します。
8. 官公署への手続き
法人設立後にはいくつか書類を提出する必要があります。
これは、会社格安センターであれば、マニュアルに何を提出すべきか具体的に書かれているため、確認しておくのが良さそうです。また、会社格安センターでは登記簿謄本を入手したあとに必要書類の届け出の無料サービスを行っているようですが、自分は税理士の方にお願いしたため利用しませんでした。
おわりに
ざっくりですが、会社設立を依頼してからここまででだいたい 2 ヶ月弱くらいかかっているかなと思います。
個人的な感想としては、総じて専門家に頼ったのが良かったなぁという印象です。特に会社格安センターを使えば、自分でやるべきことはすべてマニュアル化されているのでかなり動きやすかったです。ただし税理士などを検討する際は自分の判断が必要になってくるので、そこは慎重になる必要がありそうです。
ただ会社を設立するだけでもやるべきことが結構あって大変ですが、極力頼れるところは専門家に頼って、自身は本業に注力するのが良いんじゃないかなぁと思いました。
参考になりましたら幸いです。
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- 自分は少し遅れたため、実際に書類を持っていくまでにかかった日数は約 7 日といったところでした。↩