「普通の人が資産運用で99点をとる方法とその考え方」を読んだ上で、セミリタイアを目指す人が具体的にやるべきことを考える
生活ブクマ 数 5000 オーバーの超人気記事「普通の人が資産運用で 99 点をとる方法とその考え方」の内容を前提として、普通の人が具体的にどのようなアクションを取るべきかを、かなり具体的な例を挙げながら考えていきます。
前提:極力早い段階でのセミリタイアを目標とする
いきなりですが、多くの人ができることなら「不労所得を得てセミリタイアしたい!」と思っているのではないでしょうか。
そこで今回は、4%ルールを用いて資産を切り崩しつつ、セミリタイア(or リタイア)して生活できるようになるためにやるべきことを、できる限り具体的な数値と投資先を示しながら考えていきます。
参考:早期リタイアしたい人必見!アーリーリタイア(F.I.R.E)の「4%ルール」とは? | 三菱UFJ銀行
戦略
わかりやすくするために、月の手取りが 20 万円で生活費が 10 万円の人がいるとします。ここから、投資に回せる金額を 10 万円とした場合、以下のような戦略が考えられます。
- 新 NISA で eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500)を月 10 万円積み立てる
- ネット証券は SBI 証券か楽天証券を使う
ここではできる限り具体的な例を挙げたかったので投資先を eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) としましたが、もちろん元記事にあるように eMAXIS Slim 全世界株式 などでも良いでしょう。
ネット証券に関しては、現状は SBI 証券か楽天証券がおすすめですが、両者メリデメがあるので詳しくは調べてみてください。
2024 年度から開始された新 NISA 制度では、つみたて投資枠が年間 120 万円、成長投資枠が年間 240 万円利用できます。そのため、月に 10 万円以上投資できる場合は、まずはこの枠を使い切ることを考えるのが良いでしょう。
そして、4%ルールを用いて生活費として月に 10 万円ずつ切り崩しができるまで資産形成に成功したら、つまり今回のケースであれば 120 万円 × 25 = 3000 万円となれば晴れて(セミ)リタイア生活を開始できます。
資産形成に成功したあとは SBI 証券なら 投資信託定期売却サービス、楽天証券なら 定期売却サービス を用いて資産を切り崩していくのが良いでしょう。
ちなみに、運用リターンを仮に年 5%とおき、月に 10 万円ずつ投資して 3000 万円になるまでにかかる期間は約 16 年 3 ヶ月です。
これは、積立かんたんシミュレーション で試せます。
よくありそうな質問
元記事 にもあるように、ここからは蛇足ですが「よくありそうな疑問」に答えていきます。
※筆者の意見が多分に含まれた内容となっておりますのでご了承ください。
なぜ iDeCo を利用しないんですか?
今回のケースでは「極力早い段階でのセミリタイア」を目標としており、老後資金を貯めることを目指していません。老後のために資金を貯めたい方であれば、iDeCo はやったほうが良いと思います。
ただし、iDeCo は原則 60 ~ 65 歳 まで引き出すことができません(2022 年 5 月現在)。その点は注意しておきましょう。
高配当株を買わない理由はなんですか?
確かに、最終的に資産を切り崩していくインデックス投資よりも、高配当株(高配当株 ETF)を買って配当をもらいながら生活するほうが安心感がありそうです。しかし、それでも高配当株を買わない理由はいくつかあります。
まず、配当を再投資して資産形成する場合、余計に税金を払う必要があるからです。基本的に最初は資産を形成するために毎年積み立てを行うかと思いますので、当然配当でもらった分も再投資することになります。その場合、配当受取時にかかる税金分だけインデックス投資よりも損をしてしまいます。
また、利回りの面でも高配当株はインデックス投資に劣るケースが多いです。具体例は省略しますが、気になる方はぜひ調べてみてください。
とはいえ、高配当株にメリットがあるのも事実です。高配当株のメリットは、心理的に安定しやすいことです。資産の大半をインデックス投資に割り当て、そこから引き出して生活をしていく場合、資産が目減りしたときの心理的ダメージは計り知れません。
一方で、高配当株であれば資産が目減りしても配当はもらえるので、心理的ダメージが比較的少ないでしょう。
インデックス投資で資産を増やしたあとに、高配当株に乗り換えるのはどうですか?
個人的にはおすすめしません。理由としては、乗り換えるタイミングが難しいからです。
例えば、最初 20 年はインデックス投資を行い、20 年経ったら一気に高配当株に乗り換えることを考えてみます。この場合、20 年後に自分の資産が増えていればよいのですが、減っていたときにどうするか?という問題があります。
例えば平均利回り 5%の投資信託だったとしても、それは平均した値であり、ある年を抜き出してみるとリーマンショックやコロナショックのある年のように、資産がかなり減ってしまっている年というものが存在します。
それがあっても長期で見たときに資産が右肩上がりになっていくのがインデックス投資のうまみなので、それを自ら崩すのは良くないのではないか、ということです。元記事にもありますが、素人がマーケットタイミングを計るべきではありません。
4%ルールがうまくいくのは米国株式(S&P500)と米国債券を 50:50 で保有したときのケースですよね?株式のみで大丈夫ですか?
確かにそうですが、個人的には元記事の通りポートフォリオに債権を組み込み、アセットアロケーションをリバランスするのは 多くの人にとって難しい と考えます。心配な方はトリニティスタディの詳細を調べてみてください。調べてみた結果として、リバランスに自信がある方は債権を購入しても良いでしょう。
また、資産の枯渇が不安な方は、生活する上で必要な資金をより減らして 4%ではなく 3.5%ずつ引き出したり、必要に応じて働く時間を少し長くしたりするなどして対応できます。
繰り返しになりますが、多くの方は「セミリタイア」を目指しており、完全なリタイアを望んでいないと思っています。週 5 で働くのは嫌でも、週 1~2 で働くのはそこまで苦ではないはずです。
暗号資産への投資についてどう思いますか?
元記事でも多少言及があった暗号資産(仮想通貨)ですが、個人的には向き合い方次第だと思っています。
ただ前提として、この界隈は悪質な詐欺が多く、情報リテラシーが高くないとカモにされやすいと感じています(一般的な投資も同じかもしれませんが、より酷い印象です)。ですので、情報を追うにしても何か一つの情報源を信用せずに、いろいろな人の発言を比較したり、一次情報を参照したほうが失敗が少ないです。
一方で、自分の技術リテラシーに自信がある方は、ベースとなる技術を調べるとかなりの恩恵を受けられる可能性があります。個人的にはいきなり投資を始めず、そもそも暗号資産の基盤となる技術の仕組みやその背景について調べてみることをオススメします。
個人的な話ですが、最近は自分もまた界隈の情報を 追い始めました 。
一度積み立ての設定を完了したら、あとは何もやらなくて良いですか?
はい、基本的には何もせず、本業に集中するのが良いでしょう。投資で成績が良い人は皮肉にも
- 亡くなっている人
- 運用しているのを忘れている人
なんて話もあります。
今日ノリで行った投資セミナーで一番ためになった資料。 pic.twitter.com/5ZNUUwcwGP
— あさこ (@nafco355) January 18, 2020
一方で、個人的には投資の制度に関する情報のキャッチアップは続けるべきだと思っています。例えば、昔はつみたて NISA などの制度はありませんでした。このような制度はうまく活用すると税金の支払い金額を抑えられるので、極力利用したほうが良いでしょう。
おわりに
この記事の結論だけもう一度書いておきます。
極力早い段階でのセミリタイアを目指す人の最適解(月に 10 万円投資できる場合)
- 新 NISA で eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500)を月 10 万円積み立てる
- ネット証券は SBI 証券か楽天証券を使う
- 必要な分の資産形成に成功した後は定期売却サービスを用いて資産を切り崩しながら生活する
一応、自分は投資のプロでもなんでもない一介のソフトウェアエンジニアですので、プロの視点から見ると間違いがあるかもしれません。
この記事自体は 元記事 に感銘を受けてまとめたものであり、自分が知り合いに投資について質問されて何か教えるとしたら元記事を読むことを勧めます。この記事はより具体的な方法論と、もう少し俗っぽい疑問への回答をまとめただけに過ぎません。
もし何かフィードバックがありましたら、ぜひコメント欄や X(Twitter) 等で教えていただけますと幸いです。
余談:その他の情報源について
さらに蛇足になってしまいますが、今回紹介した内容を実践する場合や、その他の制度について知りたい方は YouTube で各種キーワードで検索することをオススメします。今は投資系のチャンネルが増えており、自分もいくつか動画を見て参考にしました。その際、一人の言うことを過信するのではなく、いろいろな人の意見と比べながら参考にする と良いでしょう。
また、一応何か書籍を読んでおきたい!という方がいれば、個人的には一冊だけ「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」という本をオススメしておきます。ただ、結論は元記事と似たような内容になっていますし、この本自体の要約も YouTube で調べるとすぐにヒットするはずです。